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-- レコーディングの雰囲気はどうでした?

Wattan 「良かったと思うんですよね。1stの時は僕も硬過ぎたし。何もかも初めてだったんで。今回はほんまに楽しかったですよ。いい感じに余裕もあったし、伸び伸び、やりたいことをやったった感はあるし。他の二人はどうだったんかな?」

Sugishow 「僕はWattanに、ほんまちゃんとしやんと、ばっちばち怒られんで、前のメンバーはこういうことがあったって言われて、レコーディングするまで、嫌やなあって思っていたんですけど(笑)、伸び伸びやらせてもらえて、楽しく良いものが作れましたね」

-- 怒られることもなかった?

Sugishow 「制作中よりも、プライベートに関して、何やってんの?っていうことはありました(苦笑)」

ANDREW 「人として(笑)」

Wattan 「キモいってね(笑)」

ANDREW 「メンバー探しの時は……ベビスモだけじゃなく、メロディックパンクをやっている全部のバンドに言いたいんだけど、コーラスをする人は、ヴォーカルと同じくらい歌えないと成り立たないと思っていて。だから、最初、Sugishowって奴が入りましたって言われた時に、ベース云々より、歌えるの?って訊いたんだけど、多分大丈夫ですよって」 (↗)

Wattan 「顔のわりにいけるんですよ(笑)」

-- 顔(笑)。

ANDREW 「ヴォーカルもやってたんだっけ?」

Sugishow 「でも、そんとき凄く音痴やったんで……」

ANDREW 「レコーディングは、そこの方が心配だったかな」

Wattan 「ええ感じやったと思いますよ(笑)」

ANDREW 「ANDREWマジックもあるしね(笑)」

Wattan 「レコーディングでは、僕もコーラスしましたけど、曲作りの段階では全部やってましたからね」

-- ドラムはどうだったんですか?

Kishimo 「最初にWattanと、どういう環境でやりたい?って話して。Wattanは、ギター録りの時はANDREWさんと二人がいいって言っていて、僕もWattanがおらん方がいいって。ベースは一緒に録るんでSugishowはいるから、SugishowとANDREWさんは別の部屋にいて、僕が一人で録って、ANDREWさんに『どう?』って言われて、行けたと思いますとか、あかんかったですとか、答えて決めていたんですよ。それで、自分でもなしやなって思った時があって、ANDREWさんにどう?って言われるのを待っていたんですけど、無音があって、Sugishowに『なしやな』って言われたのが、一番ムカつきました(笑)」

Wattan 「僕もあるんです。ギター録りでビブラートが上手くいかなかったって自分でもわかっていたのに、Sugishowに『ビブラートがよくないよ』って言われて(笑)。Sugishowは、ANDREWさんに会ってから『入ります』って口癖になって、しかも標準語なんです!それをKishimoくんと何なん!?って言っていて(笑)」

-- バンド内の立ち位置がまるわかりです(笑)。

ANDREW 「俺、このレコーディングの時は、自分らで決めさせた気がしたな」

Wattan 「そうですね」

ANDREW 「気持ち良いか悪いかは、てめえが一番良くわかってるだろうし、今のが全国に流通されるけどいいですか?っていう意味で『どう?』って訊くっていう。そこは俺も、普段と違ったと思う。流石にこれはちょっと、っていうところはやり直したけどね」

-- それでもANDREW節は滲み出てますよね。

ANDREW 「そう、ベビスモの作品でもあるし、俺の作品でもあるから」

-- 曲について触れていくと、1曲目の『Fire works』は《導火線に火をつけよう!》(和訳)っていう歌詞も含めて、スタートダッシュにピッタリだなって。

Wattan 「最初、一曲目にしようか迷っていたんですけどね。『Birthday』が一曲目だったパターンもあったし、一曲目がこれで、二曲目が『Butterfly』っていうパターンもあったんですけど。『Butterfly』の位置に関しては、ANDREWさんに言われたと思います」

ANDREW 「一回会場限定で、この曲を推し曲として出しているから、新しい曲をどんどん推していきたいので。知っている人は知っている曲だし」

-- 『Butterfly』と『Birthday』がラスト2曲っていう位置は、凄く良いと思いましたよ。今の3人のバンドの締めが『Butterfly』で、ずっとベビスモを引っ張ってきたWattanさんの個人的な締めが『Birthday』っていう。

ANDREW 「そうだったっていうことにしよう(笑)」 (↗)

-- アルバムの流れとして三段階在ると思ったんですよね。頭は速くてメロディアス、中盤は冒険もあってヴァリエーションが広がって、最後はドラマティックに締め括られるっていう。

Wattan 「めっちゃ嬉しい(笑)」

-- 特に私は中盤が好きです。

Wattan 「僕もそのへん、めっちゃ好きなんですよ」

-- 『Season』は、正直、NOBを思い出さずにはいられないですよね?

ANDREW 「流石に俺も、これ、やり過ぎかな?って思ったけどね(笑)」

Wattan 「言われるかな?って思ったけど、思えば高校生の頃とか、こんな曲ばっか作っていたので、原点回帰じゃないですけど」

-- でも、今ってこういう曲を作るバンドはなかなかいないから。

Wattan 「少ないですよね」

ANDREW 「そう、そこを買ってるんです!」

-- そして『Life goes on』のような、小技の効いているものもあり。

Wattan 「やったことのないことをいっぱい入れようと思って。ああいうリズムの曲をやったことがなかったので。Kishimoくんがうちのドラムになってくれて、出来る幅が広がってるんです」

-- それはバラード『Shine and dies』にも言えること?

Wattan 「そうなんです。僕、めっちゃやりたいことがいっぱいあって。でも、前のメンバーの時は、一人で考えて持ってきても、わかってもらえなくて。だから今回は、曲を作ることもめっちゃ楽しかったです」

-- それと相俟って、Wattanさんの歌もめっちゃ良くなっていますよね?

Wattan 「めっちゃ練習したんですよ! 前は勢いで誤魔化してきたことも多くて。それが、弾き語りする機会が増えてきた時に、この歌い方の方がいいって言われたんです。だから、声の出し方も変えて。そうしたらメロディが生きるようになったんですよね。感情的にもなれたと思います」

ANDREW 「俺もアドバイスはあんまりしていないんだけど、唯一言ったのは、いろんな音楽を聴きなっていうことくらいかな」

Wattan 「俺、そんなバンドものを聴いていないんですよ。周りのバンドにはルーツが広い人もいるじゃないですか。僕もさらっとはあるんですけど、R&Bとかの方が好んで聴くタイプだったんです。でも、やりたいのは違うっていう」

-- そういうユニークなルーツが生かされていると思います。そして、やはり『Birthday』については、しっかり訊いておきたいんですけど。 (↗)

Wattan 「一番リアルですよ。重いって捉えられるかもしれないんですけど、ざっくり言うと親父が死んで出来た曲です。親父、めっちゃ嫌いやったんです。とりあえずイカツくて、怖いんです。癌になって、余命宣告をされたんですけど、その時もいつまで音楽をやってんねん、はよ会社継げやって言われていて。それが、死ぬ2週間前に、姉が結婚して、式の余興で、僕は初めて家族の前で歌ったんです、アコースティックで。その時、『お前ええ歌を歌うやないか』って初めて褒められたんです。初めて認めてくれたっていうか。そう言うてる間に死んじゃったんですけど」

-- だからこそずっしりと詰まった感じがする曲になっているんでしょうね。死を歌いながらも誕生日っていうタイトルも、良いですよね。

Wattan 「親父と僕の誕生日が一緒なんです。稀やと思うんですけど」

-- ジャケも連動していたりするんですか?

ANDREW 「デザイナーとの打ち合わせで、ふと俺が感じたことを言ったら、それを形にしようかってなったんですよね。デザイナーに曲を聴かせてイメージで作ってもらうのも、何度も一緒にやってる人なら良いけど、そんなにやったことない人だったから」

Wattan 「アルバムのタイトルも、命をかき鳴らせっていう意味なので」

ANDREW 「おっさんが一人で誕生日を祝っているっていう、ちょっとエモい感じで。このおっさんは、Wattanでもあるし、お父さんでもあるし。それは買った人が想像してくれればいいかなって。時計の時間も、Wattanの生まれた時間にしてあるんです」

Wattan 「おかんに聞いたら、9時半ごろって。曖昧やなー、って(笑)」

-- (笑)。Wattanさんにとって、歌っていくことが重要な曲っていう気がします。

Wattan 「そうですね」

-- ツアーでは全曲披露していくことになるわけですよね。

Wattan 「はい。ドッキドキですけど(笑)」

-- でも、やっと全国に向かって走りだせるわけじゃないですか!

Wattan 「そう、やっとですよ!」

INTERVIEW BY 高橋美穂