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-- そして、ここから勢いよく行くぞ!っていう2011年に、ベーシストとドラマーが揃って脱退してしまうという。

Wattan 「そうなんです。しかも二人ですからね、ビビりますよね。最初、ドラムが抜けるってなったんですよね。で、その発表をして、残ったベースと僕で、ANDREWさんと電話で、明日ドラムの脱退の発表をしますって打ち合わせした直後に、ベースに、これからどうしようかって言ったら、『俺も五分五分で迷ってんねん』って言われて。じゃあ無理やでって。俺は一人でもやるし、50%の気持ちやったら一緒に出来へんでって。それから考える期間も与えたんですけど、結局は、ドラムが抜けるってなってから1ヶ月後くらいにベースが抜けて」

-- 3ピースで一人きりになるって、ダメージが大きいですよね。

Wattan 「びっくりしますよね。こんなことになるんやって思いましたけど。普通は解散じゃないですか。そのへんは、普通じゃなかったんですけどね」

-- 音楽を続けるっていうだけじゃなく、Baby smokerを続けたかった?

Wattan 「そうですね、1stを出せて、ANDREWさんと出会えて、自分なりにちょっとだけでも思い描いたことが叶えられてきたので、これで辞めてもうたら一生後悔するなって」

-- じゃあ、新しいメンバーを探して動きだしたいっていう考え方に、すぐにシフト出来ましたか?

Wattan 「はい。そっから振り切って、良いメンバーを入れてやったろうかな、良い転機に出来たら勝ちかなって。でも、周りの反応はキツかったですよね。メンバー二人脱退で一人しか残らないと、事実上解散やと思われるやないですか。上手いこと二人加入して再開できるとも思われないですし、諦められていた感はあって。ANDREWさんはそうじゃなかったですけど」

ANDREW 「見捨てなかった、入ります!(笑)」

Wattan 「(笑)。それが一番自分の中でデカかったりするんですよね」

ANDREW 「熱意が伝わったんで。そこは、お前のことは信じてるし、いい方向に行くでしょって。そんなに俺、衝撃でもなかったんだよね。問題児が二人いなくなったなら(笑)、もっと良くなるんじゃないかなって」

-- ぶっちゃけますね! Wattanさんの曲と歌に惚れているところも大きかったんじゃないですか?

ANDREW 「うん、俺はWattanの作るメロディが好きだから。もちろん、ドラムとベースも誰でもいいとは思っていないし、コーラスもちゃんと出来るメンバーを入れてくれとか、音楽的な話もしたけどね。2ビート苦手でもやる気はあるんです!って言われても、ちょっとダメじゃね?って。そういうところは、ちゃんと考えてメンバー探してくれよって。ただ、見捨てることは絶対になかったな。話をして伝わったし、伝えたし」

-- そして、この二人が加入すると。

Wattan 「2012年の元旦から活動休止して。最初に入ったのはKishimoくんなんですけど」 (↗)

Kishimo 「元々、ドラムが辞めるかもしれないって聞いたタイミングと、僕が前のバンドを辞めるかもしれないっていうタイミングで、大阪のバンドマン飲み会があって、そういう話をしていたら、Wattanから、じゃあ一緒にやろうやって言われて、その時はその場のノリで、そんな感じで出来たらいいなって、腹の探り合いじゃないですけど(笑)。そっから正式に脱退の発表があって、どうする?ってスタジオ入って、そっからは早かった」

Wattan 「ほんま、速攻やったもんな。僕がその時一番びびっときた理由が……ちゃんと加入のオファーはしていなかったし、飲み会の時は周りも本気にしないような感じやったんです。実際にKishimoくんは、前のバンドを抜けた後も、いろんなバンドに誘われていたみたいで。でも、ベビスモ以外は蹴るって言ってるって人づてに聞いて、何やそれ!?と。それで、すぐに電話して、スタジオに入ったんです」

-- 何故、それだけベビスモに決めていたんでしょうか?

Wattan 「気になる(笑)」

Kishimo 「僕は別のバンドをやっていた時から、TIGHTに入りたかったんですよ」

ANDREW 「初耳だ(笑)」

Wattan 「僕もです」

Kishimo 「僕、初めてライヴハウスに出たのが、NOBの『Colors』のツアーで対バンやったんですよ。そこでNOBを知って、それまでは青春パンクやってたんですけど」

-- あれ、誰かの話と一緒じゃないですか(笑)

Kishimo 「(笑)。そっから掘っていって、TIGHTを知って、HOTSQUALLも知って、そんな中で、ベビスモがTIGHTからリリースするって知って、大阪がうぉっ!って盛り上がったんですよね。また、1stの時のツアーファイナルがめっちゃカッコよくて、言うたら自分よりも後輩なのに、すげえなって。それでお互いに抜ける抜けへんって話になって、またライヴを見に来て下さいって言われたんですけど、その時のベビスモのライヴが全然僕の中では良くなくて。もう抜けることが決まっていたからかもしれないんですけど、絶対に自分が入った方が良く出来るやろ、って思ったんですよね」

Wattan 「嬉しいですね。Kishimoくんって、ポーカーフェイスなんで、何を考えているか基本的にはわからないタイプの人間なんで、こういうことを聞くとアガるねんけど(笑)」

Kishimo 「でも、この話も、NOBの話も、WattanにもANDREWさんにも、一度はしているんですけど」

Wattan 「あれ?(笑)」

ANDREW 「ちなみにNOBとは何処でやったの?」

Kishimo 「奈良のNEVERLANDです。その時はギターでした」

ANDREW 「ハンパねえ!」

Kishimo 「そこでTIGHTを知って。レーベルをやりたいと思っていたのもあって、TIGHTをやっているのはこういう人やって見えてきた時に、レーベルやるならレコーディングエンジニアも出来なあかんのか、っていうので、学校も行きました」

-- 凄い影響力!

Wattan 「Kishimoくんは何考えてるかわからないですけど、ANDREWさんはKishimoくんの中でヒーローなことは確かなんですよ」

ANDREW 「そうなんだ(笑)」

Kishimo 「NOBのインタヴューもめっちゃ読んでましたけど、だいたいドラムが怒られるって書いてあって、Wattanから1stの時も怒られたって聞いていたので、今回も怖かったんですけど、すっと終わって良かったです」

ANDREW 「俺もね、丸くなったんだ(笑)」

-- そして、Sugishowさんの登場となるわけですが。

Wattan 「ベースもいろんな候補がいて、出し合っていたんですけど、なかなかピンと来なくて。最後にダメもとで後輩のSugishowに声を掛けたんです。気合い入ってるのは知っていたし、僕がそんなにもしょっちゅう会うこともなかった時期には、EASY GRIPとかで弾いていて、それが理由かわからないですけど、一緒にスタジオに入ったらめっちゃ良くて」 (↗)

Kishimo 「逆に、Sugishowに考えさせてくれって言われたよな」

Wattan 「最初に『Cycle of the life』を合わせたら、ばっちりすぎて、すぐ(バンドに)入ろう!って言ったら、『こんなんで決めていいんですか?』って気を使ってくれて」

-- そこで躊躇した理由は?

Sugishow 「その時は自分のバンドがなかって、サポートとかしていたんですけど、1曲しか合わせないでやろうやって言われて、レーベルにも入ってるバンドやし、TIGHTは知っていたけどANDREWさんを知らない状況やし、大丈夫かな?って」

Wattan 「ビビってた?」

Sugishow 「ビビってた(笑)」

ANDREW 「だから、男に付き合ってって言われて、女が即決で良いよって言ったら軽いと思われる、みたいな。だから、こいつの中で答えは出ていたんだと思う」

Wattan 「その時に(Sugishowのマネで)『いやぁ、俺も入りたいですけど、こんなんで決められんのも悔しいんで、もうちょっと合わせて考えないですか?』って。じゃあ、次のスタジオで合わせて、それでもやっぱり良かったら、もう一回オファーしますってなったんですよ。最初だからテンションが上がってるところもあるけど、次も合わせてそう思ったら本物やから。それで、次もやっぱり最高やって、はい、決まり!って言ったら『わかりました』と」

Sugishow 「一回考えを寝かせたのもありますし、やっていて自分でも、楽しいは前提として、やり甲斐もあると思ったんで」

ANDREW 「お題は出さなかったの?」

Wattan 「3曲かな」

ANDREW 「俺なんか、BBQ(CHICKENS)の時に、30何曲覚えてって言われたけど!(笑)」

Wattan 「でも、勝手に全曲覚えて来ましたよ」

ANDREW 「ああ、いいねえ」

Wattan 「こいつ、スタジオでバイトしていたんですけど、受付でずっとベース弾いていたっていう」

Sugishow 「そう、店が閉まってからも勝手に部屋を使ってやってました」

Wattan 「それにはグッときましたね。めっちゃストイックやん!って」

-- そこから、2ndアルバムを出すまでに段階を踏んでいくわけですね。 

Wattan 「それまでに、一枚会場限定でシングルを作ったんですけど、それはほんまに、『Baby smoker復活したらしいで』じゃなく、『復活した!』にしたかったので、名刺代わりっていうのもあって、早くCDを出したいと思って。この話もANDREWさんにしてましたよね」

ANDREW 「うん」

Wattan 「でも、アルバムはバンドのグルーヴとか出て来てからの話でしょ?って言われて、確かにって」

ANDREW 「全国流通させるような2ndアルバムを、すぐにこの3人で出せるわけないでしょ、っていう。スタジオミュージシャンとかじゃないし、バンドっていうのはグルーヴが大事だから。決定的だったのは、その話をした時に、俺がまだこの3人になってからのライヴを見たことがなかったの。俺がライヴで物事を決めるって知ってるのに、先走って……」

Wattan 「暴走(苦笑)」

Kishimo 「先にNOBのゆかりのあるバンドが集まってやるイベントライヴに誘われて、出たい!ってなったんですよね。それまで、特にいつのライヴで復活するって決めていなくて、ただ3人で曲を作っていて。そんな時に話が来たから、出たい、そうなると復活するなら3人の音源が欲しいってなって、じゃあ自分らで作ろうかって、ANDREWさんからOKをもらって」

-- 音源を作ってから初ライヴだったんだ。

Kishimo 「そうです」

-- 終わらなかったよ!って、早く大きな声で言いたかったんですね。

Wattan 「そう、見てみい、復活したやんけ!って言いたかった」

-- そしてグルーヴの機が熟して2ndアルバムの制作に着手する、と。

Wattan 「そうっすね……復活シングルを出して、(3人の初ライヴの)6月10日から20本くらいライヴをやって。僕も前のメンバーと同じ感覚ではライヴをやれないし、意識改革をせなあかんところも大きくて。メンバーに求めることが変わってくるし、ツアーが終わってからが大変だったんですけど。前のアルバムの曲は違うメンバーと作ったので、やってて若干の違和感があって。前のアルバムの曲をやるのが嫌まではいかないんですけど、今のメンバーで作った曲も同じだけ背負えたら、もっと楽しくなるのはわかり切っていたから、早くそうしたかったんですよね。それで、曲を作って貯めて、ANDREWさんに聴かせて。それを繰り返して……っていう感じですよね?」

ANDREW 「うん、そうね」

-- 曲作りは、アルバムのためにというよりは……。

Wattan 「はい、3人でほんまにこれから続けていくためにやっていました」

ANDREW 「その頃、俺が岡山に謎に見に行ったこともあったよね」

Kishimo 「会場限定のシングルのツアー中で、ANDREWさんが別のライヴハウスにPAで来ていて、時間があったからって」

ANDREW 「見て、すぐ帰ったよね。思うことは後日言って」

-- そんなベビスモのリリースのタイミングと、TIGHTがPIZZA OF DEATHのレーベル内レーベルになったタイミングが合致するっていうことは、その頃からわかっていたんですか?

ANDREW 「いや、全っ然。これがまた、奇跡的なタイミングだったんだよな。もう、ベビスモの2ndいくか!って俺の中では決めて、時期とかも決め始めた頃に、その話が出て来て。これはちょっと面白いぞって。Wattanに最初に言ったんじゃないかな。ちょっと、熱い話があるんだけどさ、って(笑)」 (↗)

Wattan 「ビビりましたね。よくわかんなかったんですよ。TIGHT好き過ぎるのもあるし、いろんな受け取り方が出来るじゃないですか、レーベル内レーベルは。最初は、どうなるんやろう?って不安の方が先行していて。でも、話を訊いたら、全然そんなこともなく」

ANDREW 「俺が一人でやっていたことを、ちょっと手伝ってもらう感覚。TIGHTはTIGHTだし、やり方も何も変わらないし、ロゴが一個増えるだけ」

-- せっかくだから、ここに至った経緯を教えてもらえますか?

ANDREW 「実は、昔レーベルがあまりにも多過ぎるから、(横山)健さんに、日本にインディーズレーベルって一つでよくないですか?って言ったことがあって。みんなで選挙して、一つのインディーズレーベルのトップに立つ人を決めればいい、その時に俺は健さんに一票入れますよ、って話してて。そうしたら、ずーっとそれが健さんの頭の中にあったみたいで。」

-- へえー!?

ANDREW 「それが2年以上前の話だからね。言われ方も、一緒にやんない?みたいな感じだった。レーベル内レーベルって、吸収みたいなイメージを持つ人もいると思うけど、あくまでも同じラインでっていう。例えば、アメリカにエピタフがあって、その中にヘルキャットがあるけど、ヘルキャットはヘルキャットで一人歩きしているし、エピタフじゃなくてヘルキャットから出したいっていうバンドもいるし。話をもらった時に、そういうレーベルになればいいなって。健さんもすげぇ考えてくれたしね。俺が忙しくてレーベルのプロがやってるような動き方が、10のうちの8しか出来ていないんじゃないかって。それを全面的にプロにやってもらうことは、ベビスモにとってもいいし。PIZZAの名前が大き過ぎるから衝撃的なんだと思うけど、俺の中では、プロモーションをしてくれる会社が、TIGHTの中に増えたくらいの感じ? その気持ちをWattanにも伝えたし。大きなレーベルの中の小さなレーベルから出しているっていう気持ちはやめてくれ、そうじゃなく、俺らのTIGHTっていうクソかっこいいレーベルを、PIZZAがしょうがなく手伝ってくれてる感覚でいて、って。胸張って思って欲しいし。主導権はこっちだよ、とは」

Wattan 「めっちゃされましたね、その話」

ANDREW 「ちょっとした言い方でみんな勘違いしちゃうから。まだ見えていないこともあるし、話さなきゃいけないこともあるけど。突然音源を持ってくる奴も増えたしね。そうじゃなく、うちに限らず、私たちはJun Gray Recordsから出したいの!っていうような女の子バンドが増えてきたりすれば……」

-- レーベル内レーベルの面白さ、インディーズシーンの面白さが高まりますよね。

ANDREW 「うん、複雑に思うかもしれないけど、面白いことしか待っていないと思う」

Wattan 「レコーディング中もそんな話をしていましたね。」

ANDREW 「うん、ベビスモを訊いて、ベビスモと同じところから出したい!っていうバンドも出てくるはずだって、俺は思ってるし」

INTERVIEW BY 高橋美穂
Vol.03 へ続く