しけもくロッカーズ 1st Full Album [BLOODY ASHTRAY~血まみれのアシュトレイ~] ジャケット画像

しけもくロッカーズ 1st Full Album [BLOODY ASHTRAY~血まみれのアシュトレイ~] Code: PACT-3 / Release: 2018.4.25.wed / Price: 2,500yen(+tax)

収録曲:: 1.ROTTEN TOMATO / 2.MENHERA SPLATTER / 3.E AMBAI / 4.SARAN RAP / 5.GOLD MONKEY / 6.OxPxP / 7.DENY YOU EVERYTHING / 8.HARIKIRI DEATH MATCH / 9.SOKA SENBEI NIGHT / 10.ネグリジェ / 11.MxCxD / 12.TITAN / 13.HEY!BARBIE / 14.オクラホマスタンピード / 15.HYSTERIC / 16.GHOST WRITER / 17.去るゴリラ珍パンG / 18.SHIKEMOKU ROCKERS GO!! / 19.ジャスティス!OK!アハハハオワリデ

しけもくロッカーズ [BLOODY ASHTRAY~血まみれのアシュトレイ~] ツアー

リリースインタビュー

Vol.01

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-- インタビューを始める前に聞きたいんだけど、今日はなんでアンドリューもいるの?

ANDREW (TIGHT RECORDSオーナー) なんで俺がいるのか……? うーん、まあ、一応、レーベルオーナーなんで(笑)。

JOJI ANGER (以下、JOJI) いや、寂しかっただけでしょ?

ANDREW サビクラなんで。

-- サビクラ?

ANDREW 寂しんぼ倶楽部。

全員 (笑)

SUGA DEVIL (以下、SUGA) あとはしけもくの専属PAでもあるっていう。

Hi-BISCUS HATANO (以下、HATANO) PAなんてもっとインタビューと関係ねぇじゃん(笑)。

ANDREW ……じゃあ、俺、帰ろっかな!

全員 (笑)

-- では、本題に移りましょうか。今作のリリースのニュースを聞いて最初に思ったのが、しけもくってけっこう本気でやってるバンドだったんだっていう。

HATANO 誰も本気じゃないよ(笑)。

全員 (笑)

SUGA 本気だと思ったことは一度もない(笑)。

-- そうなんだ。

JOJI でも、HATANOさんが入ってからは「ちょっと本腰入れようか」っていうのはあったよね。

HATANO 俺はそんな空気全く感じたことないよ?

全員 (笑)

HATANO だって、3日だか4日後にライブがあるってときに、最後の練習から半年ぐらい空いてるのにもかかわらず、全っ然誰っからも連絡が来ないの! それで「ライブあんのに練習やんないの?」って聞いたら、「え、やりますぅ?」だって(笑)。

全員 (笑)

HATANO 「真面目だなぁ!」とか言われて(笑)。

JOJI HATANOさん、すっげぇ真面目なんですよ!

HATANO いや、真面目/真面目じゃないっていう話の前にさぁ……(笑)。

SUGA 俺とJOJIは「別に練習よくね?」って感じなんだけど、リズム隊の2人が。

HATANO まあ、この2人でスタジオに入ったところで、どっちも曲覚えてないから練習のしようがないんだけどね(笑)。

-- ちなみに、しけもくに対する周りの評価ってどんな感じなんですか?

JOJI どう思われてんだろうねぇ……?

SUGA よく言われるのは、「俺もこういうバンドやりたい!」って。

HATANO 羨ましがられるよね。

ANDREW あと、「セコい」って言われる。

-- セコい?

ANDREW 適当なことばっかやってんのにライブは超盛り上がる(笑)。

全員 (笑)

-- そもそもしけもくってどうやって始まったんですか?

SUGA 最初は(横山)健さんから連絡があって、「ちょっと面白いことやっから、dustboxも改名して参加してよ」って「JAPANESE KATANA soundtrack」(BBQ CHICKENSが企画した架空の任侠映画のサウンドトラック。2014年11月リリース)に誘われて。でも、最初は断ってたんですよ。

-- まあ、それが普通の反応だよね。

SUGA いや、自分たちのレコーディングがあって。だから、「ちょっと無理ですねぇ」って断ったんだけど、「絶対面白いからやろうよ」って言われて、「マジっすかぁ?」って。それで、そんな話をしたあとに試しに1曲書いてみたら、「これはイケっかもしんねぇ!」と思って健さんにすぐ電話して、結局参加することが決まって。そんな流れで最初はダスト(dustbox)のメンバーで始めました。

JOJI でも、しけもくロッカーズっていう名前はSHANKが決めたんですよ。

SUGA ああ、「JAPANESE KATANA」の話が出るもっと前、BBQ CHICKENSとdustboxが対バンしたときがあって(2013年10月25日 BBQ CHICKENS “Broken Bubbles Tour” @名古屋CLUB QUATTRO)、健さんが「もし違うバンドやるとしたらなんてバンド名にする?」って聞いてきたんですよ。それで俺らが答えられないでいたら、ちょうどそこに遊びに来てたSHANKの兵太「しけもくロッカーズ!」って言い出して、それでその名前になったんですよ。そのときはダストの曲をやっただけだったんですけどね。

-- なんでJOJIくんがボーカルに?

JOJI SUGAが歌ったらdustboxになるし、ダストとは全く違うことをやったほうがいいっていう考えがあったんですよね。元々、ダストでも飛び道具みたいな曲はやってるんですよ、「Neo Chavez 400」とか。そういう曲で俺はハードな声を出してるんで、「ハードコアみたいな曲やったらハマるんじゃないの?」って話になって、そこから歌い始めて、そのうち楽器も持ってらんなくなって、っていう話ですね。

HATANO でも、ライブだと9割インストっていう日があるよね。

JOJI そうなんですよ。歌わせてもらえないから。

-- 歌わせてもらえないっていうのは?

JOJI 曲が始まった瞬間に客が俺のことをとっ捕まえに来て、そのまま客席に引きずり込まれるんですよ。で、マイクも下に落ちてるし、わけわかんなくなって終わるっていう。そんなのを見て俺たちのことを知らないお客さんがドン引きしてんだけど、物販は買ってく、みたいな。

全員 (笑)

-- SUGAちゃんは元々こういう音楽を聴いてたの?

SUGA 俺、メタルとかハードコアとか大好きで、毎日そういうギターばっか弾いてたぐらいなんで、ほとんど遊んでるみたいな感じなんですよ。こういうのが一番得意かもしれない(笑)。

-- 歌詞については?

SUGA JOJIに「最近ムカつくことねぇの?」って聞いて、なんでもいいからムカついたこととか、ムカつくヤツの文句を書きまくってもらって。

JOJI で、これがまた文句が出る出る(笑)。

ANDREW 出てたねぇ!

SUGA ただの文句の殴り書きなんだけど、それを見て「ああ、これはあいつのことだな」とか、「これ、分かるわぁ!」ってなったりして、そこに俺が言葉を足していくっていう感じ。で、そこからインスピレーションを受けてリフが浮かんだり。

-- ああ、詞が先なんだね。

SUGA 今回のアルバムだと半々ぐらいですかね。先にタイトルから決めた曲もありました。「E AMBAI」とか。

JOJI でも俺、自分が最初に何を送ったか覚えてないから、SUGAから上がってきた歌詞を読んで、「これ、どういう意味?」ってなる。

-- 今作の歌詞を見ると、特定の若者へのヘイトが目立つなと思ったんだけど。

JOJI 多分、そういうことなんでしょうね。まぁ、俺、ちょっとしたことでイラつく人なんで。

SUGA JOJIはちっちゃいんですよ(笑)。

JOJI そう(笑)。 ちっちゃなことに対していつまでもチクチク言ってる人間なんで。

SUGA 海外のハードコアバンド政治についてとか大きなことを歌うけど、米粒ぐらいちっちゃいことを歌ってるのがしけもくロッカーズ(笑)。

全員 (笑)

-- おっさんの愚痴みたいだよね。

HATANO 立ち飲み屋にいるタチの悪いヤツだよ(笑)。

JOJI いや、完全にそれです(笑)!

-- 歌詞に日本語が多いのはなんで?

SUGA 「JAPANESE KATANA」の頃は日本語と英語両方の歌詞があって。

ANDREW その頃はまだ試行錯誤してたんじゃない?

HATANO このバンドで試行錯誤なんてするの!?

全員 (笑)

SUGA 「JAPANESE KATANA」で「HYSTERIC」って曲を作ったときに、JOJIが書いてきた言葉を並べ替えたりするのがすごく楽しかったんですよ。

JOJI 俺とSUGAは中学校のときからずっとそんなことやってたから。

SUGA そう、そういう言葉遊びを昔から2人でやってたんですよ。

JOJI 俺が歌詞を書いて、それをSUGAに渡して、SUGAがそれを受けて曲を作るっていう。あの頃と全く変わらないよね。

SUGA その頃のことを思い出しながら作ってたら楽しくなっちゃって。それで、日本語のほうが面白いし、JOJIの歌い方も日本語のほうが合うことに気付いて。

JOJI だから、俺とSUGAの遊びにHATANOさんとりゅうた(KRIS)が付き合わされてる感じ(笑)。

-- 話は戻って、その後、「JAPANESE KATANA soundtrack」に参加して、それなりに手応えがあったんですね。

JOJI 「JAPANESE KATANA」のツアーのときは持ち時間が2、30分ぐらいあったんだけど、俺らは曲がないから同じセットリストを2周やって、2日目は2周半して、ファイナルでは力尽きて1周で終わった(笑)。

SUGA そんなライブが思ってた以上に反応がよくて、これならもうちょっとやってもいいかなってことでその後も自分たちの企画をやったり、何本かライブやったんだよ。そうしたらお客さんがいっぱい来て、みたいな。

-- そんなしけもくをアンドリューはどんなふうに見てたの?

ANDREW 楽しそうだなぁ、ふざけてるなぁ、みたいな。自分も何かしらで参加したいなって(笑)。それで気付いたらPAしてた。

JOJI TIGHTから出すって話も最初からしてたよね。

ANDREW そうそう。

JOJI 俺、最初に誘われたとき、一回泳がせたもんね。「TIGHTじゃなくても別にいいんだけど」とか言って。

全員 (笑)

JOJI そうしたら、「いやいやいやいや!」って。アンドリューはツバつけの早さが半端ない(笑)。

-- HATANOさんが加入したのはいつですか?

HATANO その前に、しけもくの初ライブのときにHAWAIIAN6とガーリックで対バンしてんだよ(2014年7月26日@新宿NINE SPICES)。それを見たときに「けっこう真面目にやってるバンドなんだな」っていうのが第一印象としてあって。

SUGA あんとき、俺、すげぇ緊張してた。

JOJI 俺だってあのときはまだちゃんとベース持って歌ってたからね。

HATANO それでその後、REIJI(dustboxの元ドラマー。2015年3月23日脱退)がダストを辞めたときに、JOJIから「やりません?」って誘われて。それで、「じゃあ、一回合わせてみよっか」って話になったの。でも、そのときの俺はけっこう自分にゆとりがないときだったから、「他のバンドなんてできるのかな」って思ってたんだけど、スタジオに入ってちょっと合わせてみたら、「もういいじゃん、これで」って言われて。

全員 (笑)

JOJI で、そのうち俺もベース弾くのが嫌になって、こいつ(KRIS)が元々ベースやってたから、「おめぇやれよ」ってことでdustboxのマネージャーがベースになるっていう。

KRIS 最初はマジで断りましたけど。

ANDREW へー、なんで?

KRIS JOJIさんからその話をされたのが「JAPANESE KATANA」のツアーが始まる一週間前だったんですよ。

全員 (笑)

KRIS それで、「ちょ、ちょっと待ってください! 絶対無理っす!」って。

JOJI てめぇでやってたバンドでも立ったことないのに、いきなりリキッドルームに立てって言われるっていう。

SUGA 必死に練習してたよね。

KRIS いや、あんましてないっすよ。

JOJI 何言ってんの? ちゃんとしてたじゃん。してるくせに全然弾けねぇんだよ。

KRIS そうっすね、そうっすね……。

JOJI 謝れ。

KRIS ……すみませんでした。

全員 (笑)

-- じゃあ、無理やり引きずり込まれたのか。

ANDREW この適当さが魅力ですよねぇ。

-- あはは!

ANDREW だってさぁ、しけもくが何かリリースするっつうときにTIGHT以外どこが出せるの?って話ですよ。

SUGA 今のドヤ顔半端ねぇ(笑)。

JOJI なんか、自分にいいように話してるよね?

ANDREW いやいや、インタビューなんで(笑)。

Vol.02へ続く
Interview By 阿刀大志

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Vol.02

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-- ライブが増えるにつれて曲も増えていって。

JOJI そうっすね。その頃からアンドリューが「音源出したい」って言ってたんで、どうせ出すならアルバムでってことでSUGAが曲を書いてました。

-- アルバム制作に向けてはどういう感じで動いていったんですか?

JOJI 曲が出来たら録るっていうノリで。ANDREWの理想として「この月に録れないかなぁ」っていうのは言われてたんですよ。

SUGA その前からもANDREWから「そろそろどうかな?」っていうメールが一年に何回かあって、まだダストの曲作りをしてるときだったりしたんで、「まだかな!」っていう返事を何回もしてて(笑)。

-- アンドリューは早く出したかったんだ。

ANDREW 早く出したいっていうか、曲があるなら早くスケジュールを決めて録りたくて。他のバンドはリリース日を決めて、レコーディングの期日を決めて、そこから動き出すじゃないですか。だけど、しけもくはそういうのを決めずに無期限でやるのが絶対に合ってると思ったから、「とりあえず録ろう」と。

SUGA 一昨年にそういう話をしてたんだよね。で、去年録って。

ANDREW そうそう。これ、去年の11月ぐらいには全部仕上がってるんですよ。

-- ええっ!?

HATANO しかも、録音自体は去年の6月には終わってたよな。ミックスとマスタリングをそのあとにやって。だから俺、これが本当にリリースされるとは思ってなかったからね。

SUGA 酒飲みながらレコーディングして、飽きたら外でBBQやって。

ANDREW そう。3日間ぐらいで録った(笑)。でも、仕上がりはその辺のバンドよりも全然いいですよ。

SUGA JOJIは1日で19曲録ったもんね。

JOJI 全部歌った。最初は普通に歌ってみて、「かっこいいものができた!」ってなるんだけど、後から「ビール3本とストロング1本飲んでから歌ってみない?」って言われて実際に試してみたら「こっちのほうがいい!」ってなっちゃって、最終的には「酒飲まなきゃ歌わない」みたいなことに。

SUGA 「あの声は飲まなきゃ出ない」つって(笑)。

ANDREW 飲んだほうが出ちゃうからね。

HATANO でも、このアルバム録るのに2回ぐらいしか練習やってないからね。だから、「マジでこの状態でフルアルバム録るわけ?」って聞いたら、「いやぁ、ノリ一発でオッケーっしょ!」って(笑)。

-- あはは!

HATANO で、実際にRECに入ってみたら、「お、今のいいね!」っていうノリにはなるんだけど、ところどころでこだわりを言うわけ。「さっきのほうがドライブ感があった」とか。

全員 (笑)

HATANO 「やっぱりそういうこと言うんじゃねぇか!」って。でも、そういうことをみんなで笑いながらやるっていうのがこのバンドのテーマだから。

-- なるほど。

HATANO でも、気付いたら俺が知らないOKテイクがいっぱい入ってるんだよね。俺の喋り声が入ってる曲(GOLD MONKEY)があるんだけど、あれなんて俺、OKになってるの全く知らなかったからね。叩き間違えたから、ANDREWに「間違えた」って話し掛けてたのがそのままOKになった。

-- 完成盤を聴いて初めて知ったんですか?

HATANO そうだよ(笑)。

-- 今作はショートチューンに徹してるとは言え、幅広く遊んでる作品だと思いました。

JOJI そうですねぇ。出来上がった曲をSUGAに聞かせてもらって、「もうちょっとこういう曲増やしたい」ってすごく言ったんで。例えば、「BEASTIE BOYSみたいなのやりたい。絶対面白い」つって、SUGAがぱぱっと「SOKA SENBEI NIGHT」を作ってくれたり。

SUGA BEASTIE BOYSも昔から好きだから、そういうふうに言われてすぐに分かりましたもん。「あ、こんな感じかな」って。

-- そこは阿吽の呼吸なんだ。

JOJI そう。で、それをANDREWに「敢えて昔っぽい音にしてくれ」ってお願いして。

SUGA ドラムを敢えて打ち込みにしたんだよね。

ANDREW あれはよかったね。

-- そんな「SOKA SENBEI NIGHT」も含めて、サウンドの和洋折衷ぶりが面白くて。ビースティ以外にもアメリカのハードコア的な要素がありつつも、ヌンチャクとかガーリックみたいな日本のパンクの空気を感じさせる曲もあって、それらが違和感なく溶け合ってる。

JOJI メロコアじゃなければなんでもいいって感じだったもんね。

-- 他にも、JOJIから具体的な発注はあった?

JOJI 「スカやりたい!」とか。dustboxでは絶対にやらないし。

SUGA それを言われてすぐに、「じゃあ、“スンタカタッタ”で始まろう」ってそんな感じで曲ができて。JOJIは俺が“スチャスチャスチャスチャ”って弾いただけで「ゲハハハ!」って笑ってましたからね。

ANDREW 「SOKA SENBEI NIGHT」にSUGAの笑い声も入ってるもんね。

JOJI あれ、ガチ笑いだもんね。俺の「アー、ンー、イェー」っていう声に笑っちゃってね。

SUGA 歌録りのときに、アンドリューがJOJIの声を爆音で流れるようにするもんだから笑っちゃって。だから「ブハハ!」って笑ったままの歌が採用されるっていう。

-- 話を聞いてると、曲作りからレコーディングまで瞬発力でしか作ってないね。

SUGA そんなことなかなかできないからね。

-- ANDREWとしては狙い通り?

ANDREW 狙い通りですね。失敗も含めて全テイク残すっていう。

-- さっきも話に出たけど、「GOLD MONKEY」のHATANOさんは最高だなぁ。

SUGA 「あのー」って言ったままバツッて切って。

ANDREW 普通だったらすぐカットしちゃうんだけど、あの時点で絶対残そうと思ってた。

HATANO 俺なんてRECが終わったことすら気づかなかったからね。

JOJI 俺、ギター録りも、ドラム録りも、ベース録りも、全然立ち会ってないもん。ずっとソファで酒飲んでたから。「俺の出番まだかな」って。

HATANO 最後のほうなんて、どの曲を録り終えてて、どれをもう録り直すのか訳わかんなくなってたからね。「じゃあ、もう一回あの曲やろう」とか言ってるうちに全部終わってた。なんで終わったのかよくわかんない。

-- HATANOさんも酔っ払ってたんですか?

HATANO 最後の方はそうだったんじゃないかな。途中まではけっこう真面目にやってて、最初なんてクリック聞きながら叩いてたんだけど、「クリックねぇほうがノリがいい」とか言い出して(笑)。 でもそれより、俺とクリスにとってはリズムが合ってるかどうかよりも曲の長さが合ってるかのほうが心配で(笑)。

JOJI SUGAしか分からないスからね。

HATANO でも、ブースの向こうから「いやぁ、今のいいねぇ」って言われたら、「ああ、じゃあ終わり!」って(笑)。

ANDREW 今思い出したんだけど、はっちゃん(HATANO)が酒飲んで録り直したやつが採用されてる曲があって。

HATANO 「SHIKEMOKU ROCKERS GO!!」じゃねぇかな。後で聴いたときに「あれ、なんでこれOKにしたのかなぁ」って。

ANDREW 途中、思いっ切りモタってて、絶対ダメだろうっていうテイクなんだけど、それをOKにした(笑)。

HATANO OKにした理由が分からない(笑)。

-- ANDREWの基準は何なの?

ANDREW 第一印象っすね。普通にやってたらつまんないから、ちょっと雑な方がかっこいい。少しズレてた方がかっこいいんですよねぇ。

HATANO でも、録ってるときに「もう一度やってみようか」って言われたからね……まあ、RECだから当たり前なんだけどさ(笑)!

全員 (笑)

HATANO HAWAIIAN6でRECしてるときのANDREWとの会話がしけもくでは一切通じないのよ。「ANDREW、今のどう?」「かっこいい」で終わりだもん(笑)。 だから、リズムが走った/モタったじゃなくて、ブースの向こうにいるみんながかっこいいと思ったらそれが正解。

-- なるほど。

HATANO 「GOLD MONKEY」はクリックで(クリックに合わせて)録ったんだけど、「これでもいいんだけどぉ!」って話になって、クリック無しで録ったら「(リズムが)突っ込んでるけど絶対こっちのほうがいいよ」って言われて、「じゃあ、それで」って。普段のレコーディングでもよく話してるんだけど、今どきのバンドはエディット(ここではリズムのズレを後からきれいに整えることを指す)ばっかするから面白いCDがあまりないよねって。だから、ANDREWは今回みたいなことがやりたかったんだと思う。

ANDREW 上手いテイクはしけもくには必要なくて、かっこいいテイクが欲しかった。だから今回はとにかくかっこいいんですよ。

SUGA 音がすごいもんね。

-- たしかに、あまりに整ってる音はつまらないよね。

ANDREW だから、しけもくロッカーズが日本の音楽業界を楽しくしてくれますよ(笑)。

-- なんで笑いながら言うの(笑)?

HATANO 今、すげぇ適当に言っただろ(笑)。

-- そんなめちゃくちゃな環境でベースはどうだったの?

ANDREW 下手くそだったなぁ……。

JOJI 下手だったねぇ……。

KRIS 悲惨すねぇ。普段、全然ベース触ってないんで。レコーディングの前日にちょっと練習して、当日はHATANOさんが叩いてる横でSUGAさんに教えてもらって。

ANDREW でも、何ヶ所かあまりにもヒドいところがあったから、ベロベロのJOJIが「貸せ」って言って(笑)。

JOJI ベロベロの俺が、(利き腕じゃない)左利きのベースで弾いて。

ANDREW その感じがまたよくて。だからそこだけ音量がデカい。

全員 (笑)。

-- でも、これだけのメンツが揃ってるんだから、本当ならすげぇ必死になって練習するところなんじゃないの?

KRIS あ、でも練習は、しました。

JOJI 練習してあれなの? へぇ~。

ANDREW 俺もそれ言おうと思った(笑)。

JOJI 今、粋がり発言が出たなと思って。

-- やるだけのことはやったつもりなんだね。

KRIS はい、そうです!

HATANO こいつのヤバイのがさ、ライブのときにJOJIは始まったらすぐにどっか行っちゃうから分かんないんだけど、俺とSUGAはアイコンタクト交わしながら、「ここで合わせるか」みたいな感じでやってるのね。だけど、「はっ!」と思ってクリスのほう見ると、瞳孔開いた目で一点を見つめながら弾いてんの! ゆとりゼロ(笑)!

全員 (笑)

JOJI 俺が客にめちゃくちゃにされたライブがあって、終わってからこいつが「あれ、大丈夫でした? ムカついたんで俺も行こうと思ったんですけど」とか言うから、「嘘つくなよ! お前は俺がどこにいたかなんて見えてないから!」って。

全員 (笑)

KRIS 見てます見てます(笑)。

JOJI 絶対見てねぇよ!

SUGA しけもくのギターって弾くのけっこう楽しいからちゃんと弾いてるんですけど、たまにチラッと見ると、一点を見つめて弾いてるクリスの頭をJOJIが“スパーン!”って叩いてて(笑)。

JOJI 思い切り蹴っ飛ばしますからね。

SUGA それがすっげぇ面白くて!

JOJI こいつ、引っ叩いてもガン無視なんですよ。

HATANO 横浜でフロアライブやったじゃん? SUGAとかみんなは群衆のなかで“わ~っ!”てやってたじゃん? だけど、「あれ、クリスは?」と思って探したら、アンペグ(ベースアンプ)の陰に隠れて弾いてんの(笑)!

KRIS 当たり前ですけど、お客さんは俺のほうを全然見てないんですよ。俺の前にいる人たちはみんな横向いてて。だから俺がどんどん奥に押されるんですよ。

全員 (笑)

-- 演者がのけ者にされる(笑)。

Vol.03へ続く
Interview By 阿刀大志

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Vol.03

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-- ところで、今作はTIGHT RECORDSとしても久しぶりのリリースで。

ANDREW そうっすねぇ~。パンチあるバンドが全然いなくて!

全員 (笑)

-- しけもくぐらいしかいなかったと。

ANDREW いやぁ~、しけもくはホント面白いっすねぇ~。今も話してるだけで面白い(笑)! 結局、楽しいことしたいんですよねぇ。

SUGA 有り難いことです!

JOJI でも、もしこれが間違って売れちゃったとしたら、今後のTIGHTとの付き合いを考えますよねぇ。

ANDREW 出たぁ(笑)!

HATANO メジャーでやるかどうか(笑)。

JOJI そこは大人としてしっかり考えないと。まぁ、PAはお願いしますけど……(ANDREWを見ながら)あの寂しそうな顔(笑)!

全員 (笑)

ANDREW 他にこのメンツをまとめられるヤツはいないって!

JOJI まぁ、いないけど(笑)!

-- 集まるべくして集まったメンツだ。

HATANO でも、ライブもレコーディングも楽しいって、バンドマンが本来目指すべき姿だよね。

-- たしかに。

HATANO だから、しけもくはすげぇ健全なバンドだと思うよ。それで、見てる人が「あんなことまでできるんだ!」って思うぐらいめちゃくちゃやれるんならそれでいいんじゃねぇかなって。

SUGA でも、この音源で初めてしけもくのことを知った人は、「クリスさん……!」って憧れる感じになるよ?

KRIS いやぁ、俺は別にそんな……(笑)。

HATANO “クリちゃん”とか呼ばれちゃうよ?

全員 (笑)

SUGA クリちゃん、ヤバイね!

JOJI で、そんなふうに呼ばれても、お前、ガン無視でしょ? dustboxの物販のときにも客から言われてっからね、「KRIS、早くしろよ!」って(笑)。 すげぇムカついてるもんな。

KRIS すっげぇムカつきます。

全員 (笑)

-- このくだりを載せたら、次からは「クリちゃん、早くしろよ!」になるね。

HATANO ああ、そうなるね(笑)。あとさ、このCDを出したあとのライブで、「E AMBAI」のサビで大合唱されたら本当にギャグだなっていう話をしてて(笑)。

JOJI ファンダンゴのときに試しにやってみたら、みんな歌ったんですよね、「E AMBAI!」って(笑)。

ANDREW 俺は「HEY! BARBIE」で300人ぐらいのフロアにいる全員がスカダンスするのが見たいね。

JOJI それは見たいよね。

SUGA スカダンス、ヤバイね。

JOJI やんないヤツは退場ね。

-- メンバー的には今作の出来はどうですか?

HATANO 良かったんじゃねぇかな。

SUGA けっこう聴きますよ。

JOJI 俺、全然聴いてねぇや。聴いてる?

KRIS たまに聴きます(笑)。

SUGA 流してたらすぐ終わっちゃうからちょうどいいッスよね。

HATANO 昔はこういうバンドけっこういたけど今はいないから、そこになんか意味ある気がするな。

JOJI ホント、バンドマンから羨ましいって言われるもんね。

-- レコ発ツアーはどこに行くんですか?

ANDREW 4、5本ぐらい主要都市でやろっかなって。東名阪はマストで、あとはちょいちょい。いつがファイナルとか特に決めずに、延々とやってこうかなと。

全員 (笑)

HATANO 10年後ぐらいになって、「あの伝説のツアーが遂にファイナルを迎える!」って(笑)。

全員 (笑)

SUGA こんなバンドで50本とかツアーやったらJOJI死んじゃうよね。

JOJI 無理だよ~。

HATANO 目指すところは年間5本ぐらいかな。あと、狙うのは夏フェス。

ANDREW 夏フェス(笑)。

SUGA 俺らみたいのを出してくれるのはどこですか(笑)?

HATANO サマソニかな(笑)!

-- ちなみにBBQ CHIKENSの面々はBBQのことを“心の洗濯”って表現してますけど。

HATANO ああ、いい言葉だね。

ANDREW でも、しけもくもHAWAIIAN6とかdustboxとは全く違うよね。だから、健さんがBBQに対する思いと同じなんじゃないかな。

SUGA 俺なんか、ダストはすごくやり甲斐のあるバンドだけど、喉を気をつけたりちゃんと自己管理をして、ライブのために自分を抑えてますけど、しけもくはそれが関係ないから、そういう意味ではすごく楽しいですね。

ANDREW ストレスフリーでね。

-- じゃあ、しけもくも“心の洗濯”だ。

ANDREW みんな、初心に戻れると思いますよ。

HATANO 最早、初心の向こう側だよね。飲みに行ってる感覚と変わんない。

全員 (笑)

-- 最後に何か話しておきたいことはありますか?

ANDREW 特には……(笑)。

SUGA でも、まさか1stアルバムが世に出るとはね。健さんに言われたときにはこんなことになるとは思ってなかった。

JOJI 健さんは「もういっこバンドは持ってたほうがいいよ」ってずっと言ってくれてたんだよね。

HATANO それは大事だろうね。リフレッシュできるし、年間通してひとつのバンドをフル回転させるのは精神衛生上よくないから。俺はしけもくロッカーズにけっこう助けられた。

-- ああ、そうなんだ。

HATANO 真面目にやってるバンドではやりたくないことってあるじゃん? だけど、しけもくだったらできる。演奏がめちゃくちゃになったところで、みんな「全然オッケーすよ!」って言ってくれるから(笑)。

-- うんうん。

HATANO 俺、しけもくに入ったとき、ドラムを叩くのがあまり楽しくないときだったのよ。けっこうストレス満載でさ。で、このバンドに入って曲を練習して、あまり覚えてなかったんだけど、みんなが「いい!」って言ってくれて、「ああ、こんなでもいいんだ」って思えたんだよね。それに、みんなで楽しく曲を作れたのがよかった。このバンドで再生できたんだよ……うーん、今の話、ちょっと真面目だったな(笑)。

SUGA 涙出そうな感じ(笑)。めっちゃいい話。

ANDREW ブワッときたね。

-- 他のバンドマンもこういうバンド始めたら面白そうですね。

ANDREW そういえば、ジャッキー9がやりたいって言ってたよ。

JOJI いやぁ、それはもう遅いよ。

ANDREW 遅いよねぇ!

-- しけもくの今後は、別には何かを目指すわけでもなく。

JOJI 思いついたら何かやるって感じッスねぇ。

HATANO こんなガチでインタビューやっといて、「目標がない」って胸張って言うバンドってすげぇな(笑)。

全員 (笑)

HATANO 目標のないバンドが全国リリースって最高だな(笑)。

ANDREW しかも、ピザの看板も背負ってるからね。

HATANO じゃあ、目標が出来た瞬間に解散だな!

Interview By 阿刀大志

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